模擬患者への看護体験による看護学生の認識の発展
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概要
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看護基礎教育の初期段階から,他者と直接かかわるとはどういうことなのか,他者の健康に責任をもつとはどうすることなのかを現実的に学ぶ機会を学生に提供したいと願い,看護基本技術の修得を目的とした2年次前期の演習科目に模擬患者を活用し,教育実践を行った.この教育実践の中で,模擬患者とのかかわりが学生に大きな認識の発展をもたらしたと筆者らが実感した事例を取り上げ,そこにどのような学生の認識の発展の必然性があったのかを検討した.その結果,学生は,模擬患者への看護体験において,模擬患者がつくり出す現実に否応なく巻き込まれ,感情を揺さぶられる体験をしており,教員のコメントおよび模擬患者からのフィードバックによって,その感情の揺らぎを自覚させられ,それに対する自身の判断および行勤を意識化させられていた.一方,教員は,模擬患者のつくり出す模擬状況の中で起こったそれらの現実から,その時点の学生の看護する力を読み取り,それをより発展させる方向へと意図的なかかわりをしていた.模擬患者は,そうとは明確に意識していないながらも,自らつくり出した模擬状況において湧き起こった自身の感情を,模擬患者を演じながら自覚できる力量の持ち主であり,また,それを他者のために記憶し忠実に再現できる力量の持ち主であった.これらの諸条件がそろったことが,本教育実践において,学生の認識の発展がもたらされた必然性であったと考えられた.
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