ヘーゲル『宗教哲学』における実体-主観の展開-ヘーゲル「啓示宗教」の論理と構造(Ⅱ)-
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概要
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既に述べたように、宗教においては神と人は互いに媒介しあう関係であった。神が主観に現れるとき、主観は神を叙述する。その際、叙述を介して神に主観の有り方が反映される。つまり主観が神を叙述することは、神と主観との媒介を叙述することでもある。そのために神は人において現れることで神の存在を証し、人は神において展開されることで精神となった。そしてこの二つの運動は一つの同じプロセスであった。したがって神を主観が叙述することは、神に反映された主観の有り方を、つまり神と主観との関係を叙述することになる。神-主観-関係のこの相互媒介関係のプロセスが「宗教の哲学」としてこれから叙述される。本稿の課題は、「神の創造以前」から「キリストの登場」に到るまでの神-主観-関係のプロセスがどのような論理でもって展開されているのかを、論ずる点にある。
- 明治大学教養論集刊行会の論文
- 1996-03-30
著者
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