ヘーゲルにおける個別者の憧憬と確信
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヘーゲル哲学の特徴は、歴史の問題を正面から取り上げ、それを主題として論じた点にあると言われている。ここで取り上げる『精神現象学』の「不幸な意識」はその端的な例ではないだろうか。歴史の転換は、ヘーゲルによれば、われわれの思惟の在りかた、意識形態の変化である。「不幸な意識」とは、自己意識の一つの形態であり、古代世界から中世世界への時代の転換において、ストア主義や懐疑主義と関連しながら、登場したキリスト教の思惟の在りかたを示している。そこで最初にこの三つの思想がどのような意識形態をしているのかを概観しておくことにする。ストア主義とは、ヘーゲルによれば、対象の外界を一切無視することで、内的な自己関係に実在をもとめる自己意識の一つの形態にほかならない。
- 明治大学教養論集刊行会の論文
- 1990-03-01
著者
関連論文
- 共感の構造
- ヘーゲル「宗教哲学」における精神の共同体と神の顕現-ヘーゲル「啓示宗教」の論理と構造(Ⅳ)-
- ヘーゲル宗教哲学におけるキリストの顕現とその論理 : ヘーゲル「啓示宗教」の論理と構造(III) (哲学)
- ヘーゲル『宗教哲学』における実体-主観の展開-ヘーゲル「啓示宗教」の論理と構造(Ⅱ)-
- ヘ-ゲルにおける宗教哲学の概念
- ヘーゲル『精神現象学』における法則概念
- ヘーゲルにおける個別者の憧憬と確信
- 自己意識における反照構造-『精神現象学』の「主人-奴隷」関係の成立をめぐって-
- 意識の超越性と経験 (角田幸彦教授退職記念号)