ヘ-ゲルにおける宗教哲学の概念
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概要
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ヘーゲルの宗教理解におけるいくつかの特徴を概略的に述べるならば、1)まず第一に神は意識との関係において問題にされねばならない。神を論ずるとき、近代以前では神の本質を論ずる「神学」がその主流であった。しかしそこでは神を叙述する者の視点が考慮されていない。神を問題にしている主観の立場が考慮されないかぎり、宗教を論じたことにはならない。なぜなら「宗教」とは、神とそれに関わる主観との関係であり、神それだけの存在でも、また主観それ自体の存在でも、宗教は成り立たないからである。神を論ずるとき、神という対象に関わる意識も問題とならねばならない。ただ神だけを問題にしてきた中世の「神学」と異なって、ヘーゲルの「宗教」理解には、神(=実体)を主観との関連において把握するという近代的思考が込められている。
- 明治大学教養論集刊行会の論文
- 1995-03-20
著者
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