自己意識における反照構造-『精神現象学』の「主人-奴隷」関係の成立をめぐって-
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概要
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『精神現象学』における「自己意識」章「主人と奴隷」の関係は、様々な影響を後代に与えて来た。その影響はマルクスのみならず、現代フランス哲学に多大な影響を与えたA・コジェーブにまで及び、今日でも多くの観点から「主人-奴隷」関係が論じられている。「主人-奴隷」関係を論ずる際、最も一般的に考えられている視点は、「主人-奴隷」関係を「一方の自己意識と他方の自己意識」との「共同主観」として把握し、「自己意識」章において社会的な共同存在が問題にされているとする立場である。たしかにこの視点には首肯すべき点があるが、しかしまたいくつかの疑問もある。第一に「共同存在」を問題にするためには、複数の自己意識が存在しなければならない。
- 明治大学教養論集刊行会の論文
- 1987-03-01
著者
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