看護学生の点滴静脈内注射に関する危険予測内容の分析
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概要
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看護学生の点滴静脈内注射に関する危険予測の傾向を分析し, 教育内容ならびに安全教育の基礎資料を得ることを目的に, 2006年度から2008年度にA大学2年次学生から提出された点滴静脈内注射実施中の紙上事例患者に起こりえる危険性に関するグループレポート内容を分析した. 1グループの学生人数は3~4人で, 全46グループ中, 研究の趣旨にグループ全員の同意の得られた42グループのレポート内容を分析対象とした. 学生が予測した危険内容は, 23項目(延べ個数153)であった. これらの内容は, 血管外漏出や薬物過敏反応などの【静脈内注射に伴う合併症】が8項目(延べ個数71), 滴下数の変化や点滴ルートの屈曲などの【点滴中の観察・管理に起因する危険性】が7項目(延べ個数50), 移動動作時のルート抜去や点灯の危険性などの【点滴中の日常生活行動に伴う危険性】の8項目(延べ個数32)の3つの内容に大きく分類できた. それぞれの項目の危険内容全体に対する延べ個数の割合は, 46.4%, 32.7%, 20.9%であった.以上の結果より, 学生は, 【点滴中の観察・管理に起因する危険性】や【点滴中の日常生活行動に伴う危険性】に比べ, 文献等から得られる【静脈内注射に伴う合併症】の項目を危険性として予測する傾向にあり, 点滴の管理や患者の日常生活行動に着目して危険を予測することが困難であることが考えられた. 点滴中の患者の観察・管理やケア方法についての理解を促す教育方法の検討が必要である.To analyze the tendencies for risk prediction related to intravenous drip infusion by nursing students and gather basic data for educational contents and safety education, sophomores at a university from 2006 to 2008 were presented with nursing scenarious requiring intravenous drip infusion and were asked to anticipate risks. A total of 46 groups (3-4 students each) were used, and the contents of reports prepared by 42 consenting groups were analyzed.Students predicted 23 risks (tota, 153 items). Eight risks (71 items) related to "complications accompanying intravenous injection", such as extravasation and drug sensitivity reaction ; 7 risks (50 items) related to "risks originating from observation and management during drip infusion", such as changes in the number of drip infusions and kink in the drip infusion line ; 8 risks (32 items) related to "risks accompanying activities of daily living during drip infusion", such as decannulation while moving and risks of falling. In this manner, risk contents were roughly divided into the 3 abouve - mentioned categories. The ratio of each category to overall risk contents was 46.4%, 32.7% and 20.9%, respectively.These results indicate that students are more likely to predict risks related to "complications for intravenous injection" that can be ascertained from the literature, when compared to "risks originating from observation and management during drip infusion" and "risks accompanying activities of daily living during drip infusion", and predicting risks while focusing on drip infusion management and patient activities of daily living is difficult. Investigation of education methods to aid students in understanding patient observation, management and care during drip infusion is thus necessary.
- 香川大学医学部看護学科の論文
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