限局性尿管アミロイドーシスの1例

概要

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78歳男。7年前に直腸癌で切断術および人工肛門造設術, その後肝転移で切除術を施行されていた。今回, 無症候性血尿が出現し, DIPで左下部尿管に至る水腎症を認め, 造影CTでは左尿管膀胱移行部付近に1cm大の造影効果のある充実性腫瘍を認めた。悪性腫瘍の可能性を否定できず, 本人の希望もあり左腎尿管全摘術を施行した。人工肛門を避けるように腰部斜切開で手術を進めたが, 癒着のため腎尿管の剥離に難渋し, 特に腫瘍が存在する下部尿管で顕著であった。摘出標本で下部尿管は硬く, 粘膜は全周性に不整な肥厚による狭窄を認めた。病理組織学的にHE染色で下部尿管肥厚部にびまん性に無核の硝子様物質が沈着していたが, 上部尿管, 腎盂, 腎実質には認めなかった。Congo red染色では赤橙色に染色され, 過マンガン酸カリウム処理で脱色抵抗性を示し, AL typeの尿管アミロイドーシスと診断した。全身検索で他臓器にはアミロイド沈着を認めず, 術後9ヵ月経過し再発はない。
泌尿器科紀要刊行会の論文