保存的治療で治癒した尿道カテーテルによる腹膜外膀胱穿孔の1例

概要

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85歳男。2003年より前立腺肥大症と神経因性膀胱で尿閉を繰り返すため, 尿道カテーテル留置となった。発熱と自然抜去で受診した。膀胱結石を認め, カフの損傷による自然抜去と尿閉による腎盂腎炎で入院となったが, 尿道カテーテルと抗生剤で改善した。その後, 膀胱鏡で膀胱内に5～10mm大の結石を4～5個認めた。カテーテルを留置するも血尿は増悪した。カテーテルの交換と膀胱洗浄後持続灌流の開始で血尿は改善したが, 腹痛と発熱が出現し, 膀胱孔または消化管穿孔を疑った。CTでは尿道カテーテルが膀胱を穿孔しており, 膀胱造影にて造影剤のRetzius腔への流出を認めた。以上より, 腹腔内の損傷を認めないRetzius腔内への膀胱穿孔と診断し, 保存的経過観察とした。尿の流出は良好で解熱傾向を示し, その後のRetzius腔の尿の貯留も尿道カテーテルの位置の調整で改善し, 腹水貯留も自然に改善した。第20病日の膀胱造影ではRetzius腔への流出は少量であったが結石が数個移動していた。退院1週間後の膀胱鏡では穿孔部はほぼ閉鎖しており, 感染や再穿孔の徴候もなく良好であった。その後に経尿道的膀胱砕石術を施行し, 膀胱内に残存した結石を除去した。