膀胱癌経過観察中に発生したベリニ管癌の1例

概要

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78歳男。2004年11月膀胱腫瘍を指摘され, transurethral resection of bladder tumor(TUR-Bt)を6回施行された。2006年2月にはDIPを施行されているが, 特に異常は認めなかった。2007年9月, 膀胱癌再発のため施行した上部尿路の精査で左腎盂腫瘍が疑われた。造影CTで左腎に造影を受けない腎盂に充満する腫瘍を認めたが, 腎の形態は保たれ, 皮質の造影もみられた。左腎静脈から下大静脈には血管壁に沿って腫瘍塞栓と思われる不整な陰影を認め, 肝門部下面まで続いていると考えられた。以上より膀胱癌に続発した下大静脈腫瘍塞栓を伴う腎盂癌の可能性が高いと考え, TUR-Bt, 左腎尿管全摘除術, 下大静脈腫瘍塞栓摘除術を施行した。病理組織所見では, 腎の標本は好酸性を有し, 腫瘍細胞が乳頭状増殖を示し, 一部で腺管状構造を形成していた。免疫組織染色の結果を含め, 膀胱癌に合併した下大静脈塞栓を伴う乳頭状腺癌型ベリニ管癌と診断した。術後補助療法としてインターフェロンαを開始したが, 術後3ヵ月目に後腹膜腔に再発を認めた。
泌尿器科紀要刊行会の論文