肺転移巣に新規抗癌剤による化学療法が有効であった陰嚢内平滑筋肉腫の1例

概要

論文の詳細を見る
59歳男。右陰嚢皮膚直下に腫瘤を認め、組織学的診断目的に腰椎麻酔下に腫瘍摘出術を施行した。陰嚢内平滑筋肉腫と診断し追加治療を提示したが、本人希望より外来経過観察となった。術後8ヵ月より通院しなくなり、初診約2年後の胸部検診で異常陰影を指摘され再受診となった。局所再発は認めないが、胸部CTで右肺S4+8、S6に腫瘍を認めた。気管支鏡検査を施行し、右S4aを閉塞する腫瘍を認め、同部の擦過細胞診ではclass Vで扁平上皮癌を示唆する所見であった。また、気管支鏡生検では扁平上皮系の癌が示唆された。原発性肺癌(扁平上皮癌)と診断し、パクリタキセル+塩酸ゲムシタビンによるweekly全身化学療法を6コース施行したところ腫瘍は56%縮小し、右肺中下葉切除術を施行した。病理学的には大部分は壊死組織であったが、一部に陰嚢の平滑筋肉腫と類似する組織の残存を認めた。経気管支鏡生検標本、肺切除標本、陰嚢内腫瘍摘出標本の再評価を行い、最終的に陰嚢内平滑筋肉腫の肺転移と診断した。摘出術後4ヵ月目に左肺に小転移巣を認め、前回と同様の化学療法を6コース施行し腫瘍は消失した。しかしその後、同部再発を認め、再度化学療法を施行したが、2コース施行時点で骨髄抑制が生じ、希望により近医転院となった。A 59-year-old male was referred to our hospital with the chief complaint of a painless scrotal mass. A 6 X 4.5 X 4 cm elastic hard mass with irregular surface was palpable in the right scrotum. We diagnosed a tumor in the right scrotum and resected the tumor surgically. Histopathologically, the tumor was liposarcoma of the right scrotum. Lung tumors were found 20 months after resection of the origin. Systemic chemotherapy with new anti-cancer agents (Paclitaxel and Gemcitabine) was performed. The main tumor was reduced to 56% in its diameter after 6 courses of chemotherapy. Exclusion of the right middle and lower pulmonary lobe was performed. The final pathological diagnosis of the lung tumor was metastatic liposarcoma.
泌尿器科紀要刊行会の論文

肺転移巣に新規抗癌剤による化学療法が有効であった陰嚢内平滑筋肉腫の1例

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク