CO_2レーザー治療後急速な悪性進展を来した陰茎上皮内癌の1例

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陰茎上皮内癌はレーザー治療の良い適応と考えられているが,我々はレーザー治療後急速に浸潤性増殖,尿道粘膜内進展および鼠径リンパ節転移を来した1例を経験した.症例は74歳男性,陰茎亀頭部の無痛性発赤に気付き当科を受診.陰茎は仮性包茎を呈し,外尿道口を中心とする直径1.2cm大の紅色で扁平隆起性病変を認めた.鼠径リンパ節の腫大は触知しなかった.陰茎亀頭発赤部の生検を行ったところ,中分化型扁平上皮癌であり,上皮下への浸潤は認めなかった.陰茎癌,cTisNOMOの診断で,CO_2レーザー蒸散術(出力25W)を行った.しかし,その約半年後,発赤の再燃を認め,亀頭部の捺印細胞診も陽性であったため,陰茎部分切断術を行った.病理学的には,癌の上皮下への浸潤と著しいリンパ管侵襲,さらに尿道粘膜断端に上皮内癌を認めた.また,超音波検査,CTにて両側浅鼠径リンパ節転移も疑われたため,引き続き陰茎全切断術,会陰部尿道瘻造設術および両側鼠径と骨盤リンパ節の郭清を行った.病理学的に陰茎には癌を認めなかったが左右の鼠径リンパ節に1個ずつ転移を認めたため,術後補助化学療法を2コース行った.その後は再発なく,初回治療40カ月後の現在,健在である.一般的に予後良好とされている陰茎上皮内癌の中にも,その診断と治療には細心の注意が必要と考えられる症例がある.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2002-03-20

CO_2レーザー治療後急速な悪性進展を来した陰茎上皮内癌の1例

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