エゾマツ針葉形態の地理的変異
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概要
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北海道内の30林分のエゾマツについて針葉の形態を調査した。その結果,針葉の長さ,幅,厚さ,気孔列数の各形質の間には強い正の相関(γ=0.5363~0.8376)が認められ,これらが相互に関係のある形質であることが明らかになった。また,一元配置分散分析の結果から,それぞれの形質には,林分間に明らかな違いが存在することが示された。さらに,各形質と調査林分の所在地の年間降水量との間には,明らかな正の相関が認められた。特に,気孔列数と年間降水量の間には強い正の相関(γ=0.7257)が認められ,年間降水量が1,000mm以下と少ないオホーツク海に面した林分では気孔列数が少なく,年間降水量が1,000mm以上と多いその他の地域では気孔列数が多くなる傾向が顕著であった。すなわち,北海道に生育するエゾマツの針葉形態には,林分所在地の年間降水量に対応した地理的変異が存在すると結論された。Needle characteristics of Picea jezoensis were investigated at 30 stands in Hokkaido, Japan. Length, width, and thickness of needles and number of stomatal lines were characteristics found to be related to each other (γ=0.5363-0.8376). It was proved that these four characteristics were significantly different among investigated stands by oneway ANOVA. We could recognize significant positive correlations between these four characteristics and annual precipitation of the investigated stands. Especially, the number of stomatal lines had a strong positive correlation with annual precipitation (γ=0.7257). The number of stomatal lines was relatively small in the stands on Okhotsk Sea side where annual precipitation was less than 1,000mm. On the other hand it was large in the stands where annual precipitation was more than 1,000 mm. In conclusion, there are geographical variations related with annual precipitation of stands which influence the needle characteristics of Picea jezoensis growing in Hokkaido, Japan.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部附属演習林研究部,東京大学農学部附属北海道演習林,三重大学生物資源学部,Research Division of the University Forests, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo,University Forest in Hokkaido, Faculty of Agriculture, The Universitの論文
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