フード・マイレージの空間均衡分析
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概要
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Recently, food mileage is remarkable as the index that unites the production of food and environmental problems or the safety and the anxiety problems of food. The food mileage shows the size of the energy spent on transportation, and it can be said that the larger this value becomes, the larger environmental load grows. Moreover, it suggests that the risk and the anxiety to food increase. As mentioned above, measuring the food mileage plays an important role in analyzing various problems of food. However, in the past paper, the food mileage was calculated at certain point of the past time, so it was not simulated how this value changes under the various policies change. Therefore, in this paper, by applying the spatial equilibrium model developed by Maeda and Kano (2008), we analyze the influence to the food mileage of the shift in policy. Concretely, we measure the each food mileage about the international rice trade under the situation that the present foreign trade policy is maintained and the situation that the trade liberalization progresses and the tariff and the tariff quota are abolished completely in all countries. As a result, when thinking all countries, the food mileage increases about 4.451 times under the situation of the trade liberalization. Moreover, by analyzing the factors of an increase of the food mileage, it became clear that the influence in each country is different. The left problem includes that how to build the value of the food mileage into the policy. Moreover, when the policy is executed, it is important to calculate other environmental indicators by applying the spatial equilibrium model similarly.本稿では,コメに関する貿易の自由化という政策の変更によるフード・マイレージの変化を計測し,さらにその変化の要因から,各国に現れる影響を明らかにした.その結果,フード・マイレージは,一部の国(アメリカ,ブ ラジル,インド)においてわずかに減少するものの,分析対象国全体でみると約4.451倍になることが明らかとなった.また,各国に現れる影響は,環境に関する負荷の増大,食料に関わるリスク・不安感の増大など,様々に異なることが明らかとなった. 最後に,残された課題を提示することによって本稿を結びたい.第1の課題は,フード・マイレージと施すべき政策との関係である.つまり,分析により得られた値をいかに環境あるいは食の安全性に関する政策に結びつけるかといった具体的な手段の開発が挙げられる. 第2の課題は,他の環境指標への空間均衡分析の応用可能性の検討である.貿易に関連して利用される主な環境指標には,中田(2003)によると,以下のものが挙げられる.輸出国側に対する環境負荷としては,輸入国が本来自国で消費すべき水資源を奪っているという仮想水(バーチャル・ウオーター),同じく,それを持続的な食料消費を行う場である資源としての土地の面積の収奪に置き換えたエコロジカル・フットプリントの概念が挙げられる. また,輸入国側に対する環境負荷としては,輸入作物を窒素で置き換え,これが蓄積した土地で育った作物が人体に悪影響を及ぼすという窒素の供給過多の問題が挙げられる.
- 2008-10-29
著者
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