世界林産物貿易モデルの現状と課題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
The purpose of this paper is to make clear the direction of development of the world forest products trade model in the future by tracing history and revealing problems of the existing models. The transportation model is the root of the world forest products trade model, which does not have international views and consideration for forest product markets. The Timber Assessment Market Model (TAMM) was constructed in 1980 as a spatial equilibrium model which was able to take forest product markets into account. TAMM, however, did not include worldwide region. At 1987, The Global Trade Model (GTM), the first world forest products model, was built. GTM includes worldwide region and many forest products. Then, The Global Forest Products Model (GFPM), having same characters of GTM, is one of the most famous models now. GTM and GFPM possess several problems. Trade inertia works to decide bilateral trade volumes but it lacks the economic grounds to be introduced into these models. Ad varolem tariff is converted to specific tariff in these models. Because of this method, it is difficult to appreciate effects of trade policy change, such as trade liberalization. Imperfect competition has been accelerating in international forest products market but these models assume perfect competition. Forest Products and forest resources had been recognized as economic trade goods in these models. They, however, draw attention on the side of environmental goods as carbon dioxide sink. Hence it should be required to consider of both economic trade goods and environmental good on forest resources. The World Forest Products Model (WFPM) is based on the simultaneous equations model by IFPSIM. A problem of WFPM is not to analyze bilateral trade because the model solves net export as a solution in each country. By improving above problems, it is expected to develop the world forest products trade model.本稿では,これまで開発されてきた世界林産物貿易モデルについて概観し,その課題を明らかにした. 世界林産物貿易モデルは,1960年代に始まる輸送モ デルに起源を持ち,その後,林産物市場,複数財およ び複数国を考慮した空間均衡モデルへと発展した.そ の後,1987年に世界で初めて世界林産物貿易モデルと して構築されたGTMは,貿易慣性や関税の取り扱い に大きな特徴を持っており,その特徴は,後発の世界 林産物貿易モデルに引き継がれている. 現在最も有名な世界林産物モデルであるGFPMは, 世界180カ国を網羅した大規模なモデルであり,2次 計画問題として定式化されているGFPMは,GTM における貿易慣性や関税の取り壊い等の特徴を採用し ており,FAO (1997)やUSTR (1999)等の林産物 貿易に関する政策分析に利用されている. しかし,このように様々な研究機関および国際機関 等により開発・応用されてきたGTMやGFPM にも, いくつかの問題点が残されている.それは,貿易慣性 や関税の取り扱い,市場構造の仮定および森林におけ る環境面の欠如である.これらの問題を克服すること で,より現実に即した分析が可能な世界林産物貿易モ デルの発展が期待できるであろう.
- 2008-10-29
著者
関連論文
- 漁獲制限によるマアジ資源管理の計量分析--資源経済学的接近
- 森林保全の経済的誘因政策に関する空間均衡分析
- コメ貿易における関税削減と直接支払いのポリシーミックス
- フード・マイレージの空間均衡分析
- 世界林産物貿易モデルの現状と課題
- 自由貿易進展下の国産チーズの需要予測 : POSデータ分析
- 配合飼料価格高騰下の酪農経営支援対策 : 推測的変動モデルによるシミュレーション分析
- みかんの生産調整及び用途別出荷調整の効果について
- 線形相補性問題による国際林産物貿易モデルの再構築
- 国際コメ備蓄による食料安全保障と市場安定化 : 空間均衡モデルによる計量分析
- 寡占的加工業者を含んだ空間均衡モデルの展開
- コメに対する直接支払いの政策効果--自給率向上のため、支払い単価を可能な限り高く設定することが望ましい
- WTOコメ交渉の日本戦略を提案する--市場アクセス、米国提案では大打撃 スライド方式が強力な交渉ツールに
- Evaluating International Agricultural Policies using a Dynamic Nonlinear Imperfectly competitive Spatial Equilibrium Model
- 寡占的加工業者を含む国際貿易空間均衡モデル
- 複数財の寡占的加工業者を含む空間均衡モデル
- 乳業の企業ブランドに関するPOSデータ分析
- 供給複占と数量調整
- 寡占的市場の動学分析
- 三ヵ国間貿易でFTAの経済効果を考察する 輸入国における最低関税率設定の意義
- 土地利用型農業における経営規模拡大の可能性に関する研究 : 分析モデルの再検討と九州地域のA県における稲作の事例分析
- 空間均衡モデルによる日豪EPAの計量分析
- 資源制約を導入した動学的空間均衡モデル
- 日本・韓国間生乳貿易の可能性
- 関税を導入した国際貿易空間均衡モデルへの差額関税の導入に関する事例分析 : 完全競争市場の場合
- 関税を導入した国際貿易空間均衡モデルへの差額関税の導入 : 寡占市場の場合
- 関税を導入した国際貿易空間均衡モデルへの差額関税の導入に関する理論分析 : 完全競争市場の場合
- 中国人民元の切り上げが世界穀物需給に与える影響 : 3生産物の国際貿易空間均衡モデルによる計量分析
- 複数組の制約条件と最適解のデータに基づく不変な未知目的関数のノンパラメトリック推計法 : 線形制約条件付凹計画問題の場合
- パラレリズムに基づくWTO 輸出規律交渉の課題 : 脱脂粉乳を事例として
- 不完全競争下におけるEU輸出補助金撤廃の貿易効果 : 脱脂粉乳を事例として
- アメリカ2008年農業法の貿易歪曲効果 : 平均作物収入・選択支払いを対象として
- 戸別所得補償制度下の生産調整と水田利活用の長期見通し (誰がどのように水田農業を担うのか)
- 乳価不確実性下における酪農経営の危険回避行動 : 平均-分散モデルによる計量経済分析
- 推測的変動と供給寡占の道学モデル
- 不完全競争下における国際貿易の政策シミュレーションモデル : 混合相補性問題による国際小麦貿易の空間均衡分析
- 農家主体均衡のアクティヴィティ・アナリシス-未知なる効用関数のノンパラメトリック推計法-
- わが国青果物市場の結合度と「中央拠点市場構想」の改善方向 : だいこんを事例として
- 輸送費削減による日本産いちごの輸出拡大効果 : 香港市場を事例として
- 漁獲制限によるマアジ資源管理の計量分析--資源経済学的接近
- 線形相補性問題による国際林産物貿易モデルの再構築