資源制約を導入した動学的空間均衡モデル
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概要
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本稿では,資源制約を考慮した動学的空間均衡モデルを展開し,数値例を示したが,最後に本稿の課題を述べる.まず第1に,本稿では国内政策,貿易政策や環境政策といった経済政策を考慮していない.したがって,そのような経済政策を導入する必要がある.第2に,現実のデータに基づいたより実践的な分析を行う必要がある.第3に,本稿では今期の投資が次期の資源ストック量に影響を与えるという定式化を行ったが,自然資源を扱う場合,本稿のような場合はまれで,投資が利用可能な資源ストック量に影響を与えるためにはより長い期間が必要とされるのが一般的と考えられる.したがって,投資を行ってから資源ストックとして利用可能となるのに10期間かかるような場合には,資源動態制約式をK_{i,t+10} \leqq K_{i,t+9} \times Y_{i,t+9}+f_{i,t+9}(K_{i,t+9})のように定式化しなおすことが可能である.第4に,本稿では将来に対する完全予見型といった強い仮定がおかれている.しかし,農林漁業のような場合は,自然環境の影響を受けることから将来に対する不確実性が伴うことが一般的であり,そのような不確実性を導入することが必要となる.最後に,本稿ではすべての期を同時に線形相補性問題として解いたが,この方法では,期間,産地や消費地の数が増大した場合,線形相補性問題の行列の次数が幾何級数的に増加するため,各期をそれぞれに解くような解法を考察する必要がある.Now Tropical forests are deforested, and a decrease of a natural resource of excessive fishing are discussed. As for this, the resource is not managed well, and doing an economic activity under an appropriate resource control for industry with natural resources like the agriculture, forestry and fisheries industry and mining, etc. In a word, it is necessary to consider the policy for which an appropriate amount of the resource can be secured when analyzing it. Moreover, it is necessary to be going to take time by the time harvesting from the production beginning for the agriculture, forestry and fisheries industry becomes possible, and to develop the model from requiring time in a word to grow up dynamically after the amount of the resource is considered. In this paper, it is a problem to develop dynamically after the resource restriction is introduced into the Spatial Equilibrium Model developed by Kawaguchi, Suzuki (1994), Maeda (2001), Shono (1999), and Kano and Kawaguchi (2004).
- 九州大学の論文
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