Litomosoides carinii感染ラットにおけるIgE抗体産生の経時的変化.
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概要
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Wistar系ラットにLitomosoides carinii (Lc)感染幼虫を50~100隻宛接種(I群),またはLc感染ダニから直接感染(II群)させ,受身皮膚アナフィラキシー(PCA)および間接赤血球凝集反応(IHA) testでLc感染経過に伴なう各抗体価の変動を追跡し,あわせて,Counter免疫電気泳動(CIEP)で沈降抗体の有無を検討した.I群では15例中4例のラットに10~15週目の剖検で1~2隻のLc虫体が認められたが,その他のラットには虫体は認められなかった.これに対しII群では6例全例に100隻以上の虫体が認められた.PCAおよびIHA抗体価の変動は虫体の回収状態により3種類に分類された.虫体の回収が少数であったラットではPCAおよびIHA抗体価はともに上昇し,4例の平均値でみると,PCAでは感染7週目の1:32,IHAでは13週目の1:181が各々最高値であった.虫体が回収されなかったラット11例中3例ではPCA, IHA両抗体価の上昇を認めなかったが,その他の8例のラットでは平均値でPCA 1:4 (2週目),IHA 1:26 (6週目)が各々最高値で,IHA抗体価はその後徐々に下降した.また,虫体が多数回収された6例のラットでは,PCA抗体価はあまり上昇せず(最高値1:5.6,5週目)IHA抗体価が急速に上昇した(1:362, 8週目).CIEPでは虫体の回収に関係なく全例に沈降線を認めたが,虫体の回収されなかったラット中3例のラットでは剖検時までに沈降抗体は消失した.この結果からLc特異的IgE抗体産生は生きているLc幼虫によって誘導されるが,多量の虫体の寄生はこれを逆に抑制する.また体内移行中に死亡した虫体あるいは移行終了後早期に死亡した虫体は沈降抗体もしくはIHA抗体を誘導すると考えられる.Rats (Wistar strain) were infected with larvae of Litomosoides carinii by sub cutaneous injection (group I) and exposed to L. carinii-infected mites (group II). Progressive changes of titers of passive cutaneous anaphylaxis (PCA) and indirect hem-agglutination (IHA) tests were determined, and counterimmunoelectrophoresis (CIEP) was done additionally for the study of precipitating antibody production. A few L. carinii worms were recovered at 10-15 weeks after infection from 4 of 15 rats of group I, and other rats of group I burdened with no worm. Six rats of group II burdened with more than one hundred of worms. Both of PCA and IHA titers increased (maximal mean titer of PCA was 1:32 at 7th week and that of IHA was 1:181 at 13th week) in 4 rats that burdened with a few worms. However, PCA and IHA antibodies couldn't be detected in 3 of 11 rats that burdened with no worm, and in other 8 rats of group I, the maximal mean titer of PCA was 1:4 at 2nd week and that of IHA was 1:26 at 6th week. Then IHA titer declined gradually. PCA titer in 6 rats of group II burdened with many worms, increased scarcely (maximal mean titer was 1:5.6 at 5th week), but IHA titer increased rapidly (maximal mean titer was 1:362 at 8th week). The results of CIEP were positive in all rats, however in three rats that burdened with no worm, precipitation became negative before the time of necropsy. It seems that PCA and IHA titers varies with the number of the worms recovered from L. carinii-infected rats. IgE antibody response is induced only by surviving worms of L. carinii but parasitism of many worms in a rat suppresses this response. Worms that were dead in early period of infection, stimulate the production of CIEP or IHA antibodies only.
- 長崎大学熱帯医学研究所,Institute of Tropical Medicine, Nagasaki Universityの論文
- 1981-09-30
著者
-
及川 陽三郎
金沢医科大学
-
藤田 紘一郎
東京医科歯科大学 大学院 国際環境寄生虫病学分野
-
藤田 紘一郎
Section Of Environmental Parasitology Department Of International Health Development Division Of Pub
-
及川 陽三郎
金沢医科大学生体感染防御学
-
及川 陽三郎
金沢大学 医薬保健研究域医学系寄生虫感染症制御学
-
池田 照明
金沢医科大学生体感染防御学
-
池田 照明
金沢医大・医動物
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