1990年イラン北西部ルードバール地震の被害や地変の観察と聞込み調査
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概要
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1990年6月に発生したイラン北西部の地震(M7.3)の現地調査を実施した.訪問した市町村はカスピ海沿岸のRasht市,本震の震源付近のRudbar市やManjil市など15以上に上る.建造物や地盤等の地震による変形や破損の様子を観察すると同時に,住民から人的被害の程度,地震にともなった現象の有無や状況について聴取した.建物の調査対象としてはRashtの市役所やRudbarの病院など,地盤災害ではカスピ海沿岸Sefidrudデルタ地帯での液状化による地盤の変形が主なものである.激震区の町や村の人的被害は,最高47%の死亡率,そのほかは10~30%であった.ブロック塀の倒壊方向や人の証言に基づき強震動の方向を推定した.とくに,余震域南東端付近の震動は複雑である.震源域一帯では斜面崩壊や地辷り,地割れが多数見られた.余震域の南東端付近のPakdeh村では西北西-東南東に延びる開口性の大きな地割れ群,この村の1~2km北方には南北走向の地辷り性の地割れ群が出現した.これらは,近傍直下の震源断層の活動の2次的な効果であると考えられる.そのほか地震の随伴現象には,発光現象や地下水の変化などがあった.今度の地震は歴史地震活動の空白域に発生した.イランにおける最近100年間の主な地震活動の時間特性によると,ほぼ10年ぶりの今回の活動期はまだ数年つづくかもしれない.Damage to buildings, facilities and people as well as various earthquake phenomena caused by the Rudbar earthquake of June 20, 1990 were studied by using the method of field observation and inquiry of the inhabitants. We visited more than 15 cities and villages from July 18 to July 26, 1990.
- 1991-09-30
著者
-
橋本 信一
東京大学地震研究所
-
佃 為成
京大防災研
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佃 為成
東京大学地震研究所
-
酒井 要
京都大学防災研究所
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佃 為成
Earthquake Research Institute University Of Tokyo
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