形態素解析の大規模言語調査データへの応用 : 岡崎敬語調査パネルデータにおける名詞・代名詞・動詞の相対頻度数に対する話者性別効果の検証
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概要
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Seifart et al.(2010)およびSeifart(2011)は名詞・代名詞・動詞の談話中における相対頻度数(NTVR)が言語内で,また言語間でも大きな分散を示し,類型論的に興味深い分布を示すものであることを明らかにした。ここでは岡崎敬語調査(国語研1957, 1983, 阿部(編)2010, 西尾他(編)2010, 杉戸2010a, 2010b, 松田他2012, Matsuda 2012, 松田他2013, 井上・金・松田2013)の回答文に形態素解析を施したデータを分析することで,(1)NTVR が回答者の加齢に影響を受けずほぼ一定の値を保っており類型論的指標として信頼しうる安定性のある数値であること;(2)NTVR には性差が見られ男性の値の方が女性の値より高いこと;(3)この性差が敬語補助動詞の使用頻度の性差によるものであると考えられること,の3点を主張する。NTVRは生涯変動を見せない安定した指標であるが,NTVR算出を目的とした談話データの使用に際しては,当該言語の社会言語学的変異にも配慮する必要がある。また,この研究は形態素情報付き岡崎敬語調査発話データの有用性の一端を示すものであり,こうしたデータの活用によって,岡崎敬語調査のデータは計画当初考えられていたものよりも遙かに多くの多種多様な言語学的問題に解答を与えることが期待される。
著者
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