東京方言格助詞「を」の使用に関わる言語的諸要因の数量的検証
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概要
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現代東京方言格助詞「を」の変異について,これまで主に内省に基づいて提案された言語内的要因を取り上げ,自然談話の統計的分析を通してそれらの有効性を検証した。取り上げた仮説は(1)隣接性の仮説,(2)目的語名詞句の名詞・代名詞差,(3)名詞句の情報性である。東京語生え抜き話者37名とのインタビュー資料から得た7,529件のデータにロジスティック回帰分析を施し,次の知見を得た。(1)隣接性は大きな制約として機能するが,非隣接の場合間にどのような要素が入るのかは関係ない。ここからTsutsui(1984),Saito(1985)の仮説は支持されるが,Saito(1983)の仮説は破棄される。(2)語彙名詞・代名詞別はゼロ化に関わり,Hosaka et al.(1992)の仮説は裏付けられる。(3)情報性が「を」のゼロ化に関わるというMasunaga(1988)の仮説は破棄される。
- 2000-06-30
著者
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