感染性心内膜炎に合併した多発脳膿瘍と脊髄髄内膿瘍の1例
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概要
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感染性心内膜炎に脳膿瘍のみならず、脊髄髄内膿瘍をMRIで確認しえた31歳男性例を報告した.発熱後、亜急性に両腋窩痛、右足先から右臍上部のしびれ感、四肢の筋力低下が出現した.多形核球優位の髄液細胞増多を認め、MRIで脳実質内の多発病変と頸髄-上部胸髄レベルに腫脹を伴うリング状の造影効果を認め、多発脳膿瘍と脊髄髄内膿瘍と診断した.4歳で心臓弁置換術と入院前に抜歯の既往があり、心エコーで僧帽弁に付着する疣贅を認め、血液培養でγ-Streptococcusを検出した.菌血症から感染性心内膜炎をきたし、脳膿瘍と脊髄髄内膿瘍を引き起こしたと考えられた.診断後、抗菌薬を変更し、筋力は約1週間で速やかに改善傾向を示し、MRIで病変の縮小を認めた.感覚障害の改善には数カ月を要した.人工弁の疣贅は縮小せず、僧帽弁置換術が必要となり、入院から手術施行までの約2ヵ月間,抗菌薬治療を継続した.脊髄髄内膿瘍は極めて稀ではあるが、治療時期を逸すると重篤な転機をたどる疾患である.感染性心内膜炎では脳膿瘍のみならず、脊髄髄内膿瘍を来たすことを念頭に適切な検査を早期に行い、常に外科的治療を考慮しながら、抗菌薬治療を行うことで良好な転帰を得られる可能性があると考えられた.
- 2014-01-31
著者
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