家族性低カリウム性周期性四肢麻痺が疑われる慢性ミオパチーの1例

概要

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周期性四肢麻痺(periodic paralysis: PP)は稀な遺伝性イオンチャネル異常症で血清カリウム濃度の変化に伴う一過性の弛緩性麻痺が特徴的である。周期性という名がつくものの、50〜60歳代にかけての患者では約70%に上る症例で筋力低下が永続的であり、約10%は慢性ミオパチーの経過のみをとると報告されている。今回我々は、家族性低カリウム性PPの家族歴をもち、臨床像として慢性進行性のミオパチーを呈し、弛緩性麻痺の明らかなエピソードのみられない一症例を経験した。針筋電図、筋MRIを総合すると一部脂肪変性を伴う壊死性ミオパチーが示唆された。筋病理では非炎症性壊死性ミオパチーの所見で空胞を伴う筋線維が豊富にみられ、PPを示唆する所見がみられた。PPでは脱力発作の予防のためアセタゾラミドを内服するが、慢性期ミオパチーの進行にも有効であったとの報告もある。家族性PPが疑われる症例の中に本症例のような周期性麻痺が明らかでない慢性ミオパチーの経過をとる症例があることを認識することは重要であり、筋MRIおよび筋生検が診断に有用であった。
2014-01-31