右利き交叉性失語を呈しMRIにて皮質層状壊死を認め不完全脳梗塞による選択的神経細胞死が疑われた1例
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概要
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症例は73歳、男性。14年前より高血圧、脂質異常症で近医に通院。200X年某日、夕食後より左片麻痺、発語障害を発症し、MRIの拡散強調画像(DWI)およびT2強調画像にて右前大脳動脈(ACA)領域に高信号を呈し、浮腫を伴う急性期脳梗塞と考えられた。入院中の心電図で発作性心房細動を認めたことより心原性脳塞栓症が疑われた。言語障害は口舌顔面失行を伴う発語失行であり、右利き交叉性失語が疑われた。入院時よりヘパリン、エダラボンの投与を開始、2週後よりワルファリンの投与を開始した。SPECTにて右中大脳動脈(MCA)領域前半部の血流は軽度〜中等度に低下。MRAにて右MCAは近位部で先細り状に閉塞していた。今回の脳梗塞発症前より粥状硬化による右MCAの慢性閉塞があり、心原性塞栓が右ACAを閉塞したことにより右ACAからMCA領域前半部への側副血行も低下し、今回の梗塞巣のみでは説明できないMCA領域の症状を来したと考えられた。1ヶ月後のMRIでは、右ACA領域に典型的な脳梗塞の所見を認めたのに対して、右MCA領域前半部に皮質層状壊死を認め、梗塞に陥らない軽度から中等度の血流低下が持続したことによる不完全脳梗塞が疑われた。局所的な皮質層状壊死による交叉性失語と片麻痺を呈し、不完全脳梗塞による選択的神経細胞死が疑われたまれな症例と考えられた。
- 2014-01-31
著者
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