生物多様性評価に向けた土地利用類型と「さとやま指数」でみた日本の国土
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概要
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里地里山(以下、「さとやま」)は、我が国の生物多様性の保全と多様な生態系サービスの持続可能な利用にとって重要な空間である。その保全・再生に関わる政策の立案・モニタリング・評価のためには、さとやまの特性を土地利用面から抽出して地図化できる指標の開発が求められている。本研究では50mメッシュの高解像度土地利用データを用いて国土の土地利用を「原生的土地利用」、「農業-さとやま的土地利用」、「人工林」、「都市的土地利用」に類型化した。さらに、農業-さとやま的土地利用内において、農業的土地利用の比率で重みづけた6km四方の土地利用の多様度として「改良さとやま指数M-SI(以下さとやま指数)」を地図化し、さとやまの視点からの国土の特性を概観した。その上で、各都道府県、既存の国立・国定公園、および世界自然遺産地域ならびにその候補地が、さとやま的土地利用をどの程度含んでいるかを集計した。その結果、国土面積の6割が農業-さとやま的土地利用類型に分類された。さとやま指数は広島県や岡山県などの中国山地で特に高い傾向が認められた。一方、紀伊半島、四国、九州の、その植物相が襲速紀要素で特徴づけられる地域は人工林によって占められる率が高いことが示された。また、国立・国定公園は、原生的土地利用カテゴリーの土地の相当部分を含んでいるのみならず、国土に占める面積比率から期待されるよりも有意に高い比率でさとやま指数が特に高い(0.5以上)土地を含んでいることが示された。一方、三陸復興国立公園への再編成が検討されている地域の国立・国定公園は概して人工林の比率が高いことが示された。既存の世界自然遺産地域は、小笠原諸島を除いてさとやま指数の高い土地の面積比率は低かった。一方、琉球諸島とともに世界自然遺産の候補地の暫定リストに掲載される奄美群島、特に奄美大島にはさとやま指数が高い土地が広がっていることが示された。土地利用類型とさとやま指数からみる限り、国立公園はさとやまの保全に重要な役割を果たす可能性があることが示された。今後、自然公園の管理において、さとやまを意識した保全管理が実践されれば、国土のさとやまの生物多様性保全に広く寄与しうるだろう。
- 2013-11-30
著者
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角谷 拓
国立環境研究所
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鷲谷 いづみ
東京大学大学院農学生命科学研究科
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鷺谷 いづみ
東京大学大学院農学生命科学研究科
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角谷 拓
環境研
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吉岡 明良
東京大学大学院農学生命科学研究科
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今井 淳一
四国旅客鉄道株式会社
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