日本における知的障害教育試行の帰結点としての生活教育 : 戦後初期の教育実践を中心に
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概要
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学校教育は、あらゆる児童生徒がアクセスできるインクルーシブ・カリキュラムの開発という課題に直面している。この課題解決のためには、通常教育や通常教育の教科・領域と自立活動の指導によって教育課程が編成されるいわゆる「準ずる教育」課程による障害児教育とは趣を異にする知的障害教育の普遍性と独自性が、共通理解となる必要がある。本稿は、その基礎的作業として、戦前の小学校と戦後の中学校における試行的知的障害教育を示し、若干の考察を加えた。戦前の小学校低能児教育では、知的教科よりも技能的教科の時間を増やし,教科指導よりも生活指導を中心とした総合的な学習が重要視された。これは、対象児童が小学校第1学年以前の指導内容を必要とする者を含む集団であったことと知的教科の学習成果に一定の限界があると捉えられたためであった。戦後初期の精神薄弱教育では、精神薄弱者の知的発達は健常児とは質的に異なるという立場から、社会生活能力の育成が目的とされ、実生活の文脈に沿った生活体験の経験化が図られた。
- 障害科学学会の論文
- 2009-03-25
著者
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