「精神薄弱」教育の独自性と通常教育との共通性 : 『昭和37年度養護学校小学部・中学部学習指導要領精神薄弱教育編』の内容項目の検討
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概要
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本稿では、昭和37年度版養護学校小学部・中学部学習指導要領精神薄弱教育編の各教科(「精薄」教科)と昭和31年度版幼稚園教育要領と昭和33年度版小学校・中学校学習指導要領の内容項目を比較した。その結果、「精薄」教科には、おおむね小学校第2・3学年程度までの各教科の内容項目が含まれていたが、生活年齢で標準的に求められる生活に即した内容項目も設定されていた。また、幼稚園教育要領の6領域や小・中学校の道徳や特別教育活動など教科外課程の内容項目が含まれていた。その根底には、知的学習に困難のある「精神薄弱」児においても、生活能力の伸長の可能性があるという対象児観や、生活者としての主体性の育成を願う教育観があった。今日の知的障害教育をインクルーシブ教育の中に位置づけるためには、通常教育における教科外課程、学校外の生活での教育の成果を考慮する必要がある。
- 2011-03-31
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