炭酸ガス吸収源としての山形県の標高別の植生分布
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概要
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山形県において大気中の炭酸ガス固定に寄与する森林の実態を明らかにするために植生図および数値地図を用いて標高別の森林分布状況をGISで調べた。植生図を44市町村の行政境界線で区分した後,55mのグリッドを生成しオーバーレイ解析により標高100mごとの集約群落名を区分して集計した。山形県の森林は自然林と二次林が約22万haでほぼ同面積,植林地は16万ha,自然林に近い二次林は約7万haであった。植林地と里山の二次林は低標高域に分布しているが,自然林および奥山の自然林に近い二次林は高標高域に分布していた。自然林や奥山の二次林は正負の成長量は均衡していると考えられた。また,高標高の植林地は水源林保全の観点から,庄内地方の海岸林は防災上の観点から収穫の対象外と判断された。これらを考慮すると山形県内で炭酸ガス固定に寄与する森林の面積は,植林地のみを対象とした場合には約13万ha,里山の二次林を含めた場合は約40万haと試算された。なお、山形県の将来の森林の取り扱いを考える場合,里山の二次林については施業目標を明確にしていく必要があり,現状では蓄積の維持と増大が重要な課題といえる。
- 東北森林科学会の論文
- 2004-09-30
著者
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