がんの最新治療総論(2)癌の放射線治療の進歩

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レントゲン博士が1896年にエックス線を発見し、その翌年には放射線治療が開始されたことから、放射線治療はすでに116年の歴史がある。近年、がんに対する治療法の選択にあたり、治療法の有効性だけでなく、治療後の患者のQOLが考慮されるようになってきた。放射線治療は患者のQOLを重視し臓器温存が可能な治療法としての特長を有しているため、本邦でも放射線治療を選択する患者が年々増加している。現在頻用されている放射線治療はライナックを用いた高エネルギーエックス線による外部照射であり、非侵襲的に短時間で治療が施行可能である。しかし、周囲の正常臓器にも放射線が照射されるため、程度の差こそあれ正常組織の有害事象を避けがたい。今世紀に入り、放射線治療機器や放射線治療周辺機器の開発が急ピッチに進み、周辺の正常臓器への照射線量を極力減少させる照射法である定位放射線照射法(Stereotactic radiosurgery: SRS)、Stereotactic radiation therapy: SRT)、強度変調放射線治療法(Intensity modulated radiation therapy: IMRT)臨床応用された。,また、陽子線や炭素線などの粒子線治療施設も建設された。こうして放射線治療の精度が向上したことで、時間軸を考慮した画像誘導放射線治療法(Image guided radiotherapy: IGRT)も開始されつつある。また、小線源治療でも線源が小型化し、さらに高線量率となったことで、適応が拡大したばかりでなく患者の負担も軽減した。また、硼素中性子捕獲療法やRI標識抗CD20抗体を用いた放射免疫療法も進歩している。そこで本総説では急速な発展を遂げている放射線治療について、主に物理学の進歩がもたらした治療機器の進歩について概説する。
2013-02-25

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