生活習慣と神経症傾向の関連についての疫学的研究
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概要
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生活習慣と神経症傾向の関係を検討することを目的に,自記式調査票を用いた疫学調査を実施した。対象はある企業の社員475人で,これらの者に自記式調査票を配布して調査への参加を依頼した。調査票には,喫煙,飲酒,肥満度,朝食の取り方,間食の取り方,運動,睡眠の計7つの生活習慣に関する質問と,神経症傾向を評価するためのCornell Medical Indexなどを盛り込んだ。調査票は459人から回収されたが,このうち調査票の記入が不十分であった21人を除いた438人(男403人,女132人,平均年齢36.1±12歳)について,断面研究の手法で解析を行い以下の結果を得た。7つの生活習慣のうち,喫煙習慣と肥満度が神経症傾向との単変量解析で有意な関連を示し,喫煙習慣がある者とBody Mass Index(BMI)が24.3以上の肥満または19.8未満のやせの者で神経症傾向の者の割合が大きかった。性別などの影響をコントロールした多変量解析の結果では,肥満度だけが神経症傾向と有意な関連を示した。神経症傾向は比較的長期の精神健康を反映すると考えられるので,本研究の結果は,中〜長期の精神健康の保持増進を目指す保健予防活動の基礎的な情報になる可能性がある。断面研究である本研究では因果関係を示すことはできないので,肥満度が神経症傾向を引き起こすかどうかを確認する縦断的研究を今後行っていく必要がある。
- 日本健康医学会の論文
- 1998-07-25
著者
-
井原 一成
昭和大学医学部衛生学教室
-
瀬古 知永子
昭和大学医学部衛生学教室
-
中村 好一
自治医科大学
-
宮野 雅子
パイオラックス(株)安全健康管理室
-
中村 好一
自治医科大学公衆衛生学教室
-
中村 健一
昭和大学医学部
-
宮野 雅子
(株)パイオラックス安全健康管理室
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