一側胸腔を占拠する胸膜原発滑膜肉腫に対する肺全摘

概要

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背景:滑膜肉腫は軟部悪性腫瘍の中では比較的頻度の高い疾患であるが、胸膜原発はまれである。今回我々は一側胸腔を占拠する滑膜肉腫に対して左肺全摘を施行したので報告する。症例:38歳女性。2010年1月胸部単純写真異常を指摘された。2月に胸腔鏡下胸膜生検が施行され、当初悪性胸膜中皮腫の診断であった。cisplatin+pemetrexedによる全身化学療法が施行されたが腫瘍は増大したため、手術目的で当科紹介となった。画像上腫瘍は一側胸腔を占拠し健側を圧迫していたが、胸骨正中切開に側方切開を加えた開胸により安全に左肺全摘術を施行しえた。術後病理・遺伝子検査にて胸膜原発の滑膜肉腫の診断であった。術後放射線療法を施行したが、術後9カ月目に左胸腔内局所再発、心膜播種を認めた。その後ifosphamide+adriamycinによる化学療法が6クール施行されたが術後19カ月で原病死した。結論:慎重な手術適応の検討は必要だが、縦隔偏位を来すような巨大な腫瘍であっても、積極的な集学的治療により患者QOLに寄与することが可能と思われた。
2012-09-25