カワウのコロニーにおける森林の衰退について : 樹木の衰弱状態と森林の衰退状況の判定

概要

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カワウ(Phalacrocorax car bo Kuroda)は樹上に営巣する水鳥である。そのコロニーや塒で見られる森林の衰退過程を解明するため,森林衰退と営巣の関連を把握することを目的とした。調査地は滋賀県近江八幡市にある琵琶湖に面した伊崎半島(約57ha)で,ヒノキ・アカマツの人工林が約半分を占める。営巣数と森林の被害状況から林分の状態を5段階の営巣タイプに分け,全営巣タイプが含まれるように50m^2の方形区を5つ設けた。各方形区では樹種・DBH・健全度・営巣数を調べた。方形区外で成長錐による年輪解析も行った。伊崎半島全体に渡る,約2kmのベルトトランセクトを設定し,樹木の衰弱状態・営巣数・樹冠被覆度・下層植生被覆度を調べた。カワウの営巣と樹木の衰弱との関係については,衰弱した樹木に営巣数が最も多く,枯死木には営巣が見られなかった。4月は健全木に営巣が多く7月にかけて徐々に減少したが,衰弱した樹木への営巣数は変化しなかった。年輪解析により,健全度が樹木の生理的衰弱の指標となっていると推定できた。半島全体で営巣数は増加し,被害も進行している。
応用森林学会の論文
2001-03-20