日本語能力簡易試験の開発に向けての一考察(教育編)
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概要
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ここで言う「日本語能力簡易試験」というのは、筆者の考案した形式のテストで、テストに要する時間は約10分程度、採点も単純で短時間に処理のできるものである。これは、平仮名1字分の穴埋め聞き取りテストで(以後「聞きテスト」と呼ぶ)、穴埋めが要求されているのは、文法項目部分の一字分である。受験者は、テープを聞きながら、同時に、解答用紙に書かれた同じ文を目で追い、各問につき1ヶ所の空欄に聞こえた音を平仮名で書き込むことが要求されている。この「聞きテスト」は筑波大学留学生センターのプレースメントテストの文法、及び、総合得点との間に高い相関(相関係数0.80以上)を示していることから、簡易・日本語能力試験として利用できると考えている。この解答用紙の穴埋め文は、漢字仮名混じりで示されているため、漢字能力の差がテスト結果に与える影響の有無を調べる必要を感じた。統計処理の結果、影響に有意差は見られなかったが、多少の傾向は漢字能力の低い受験者について見られた。従って、このテストを実施する際は、漢字仮名混じり版と仮名版の2つの解答用紙を用意し、受験者の希望するほうを、選ばせるとよいであろう。
- 1993-09-23
著者
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