聴覚手掛りと視覚手掛りがもたらす処理促進効果の違い(マルチモーダル,感性情報処理,視知覚とその応用,一般)

概要

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聴覚手掛り(聴覚刺激)を視覚刺激と同期,もしくは先行して提示することにより,目標の検出までの反応時間が視覚刺激だけを提示した場合よりも短くなることが報告されている。一方,事前に視覚手掛りを提示することによっても,手掛りがない場合と比べて目標を早く検出することができる。本研究では,聴覚手掛りと視覚手掛りの持つ処理促進効果の特性の違いを検討するため,傾きの異なる線分の位置を答える課題(実験1),連続提示される複数の矢印のうち1つについて方位を答える課題(実験2)を設け,中心視野と周辺視野に刺激を提示して反応時間を計測した。その結果,実験1では聴覚手掛りが中心視野で,視覚手掛りが中心視野と周辺視野の両方で,実験2では聴覚手掛りと視覚手掛りが共に中心視野において,処理促進効果をもつことが分かった。以上の結果より,聴覚手掛りは課題に依存しない処理促進効果を持つのに対して,視覚手掛りは空間位置を把握する場合には視野に依存しない処理促進効果を持つという違いがあることが示唆される。
2011-11-03