実生スギにおける含水率とpHの関係

概要

論文の詳細を見る
本研究では、スギ黒心材の発生要因に関する基礎的知見を得ることを目的として、26年生実生由来のスギ林分における心材、辺材及び枝材の含水率及びpHの樹幹内変動（地上高1.2m及び5.2m部位）を調査した。また、得られた結果から、枝材含水率もしくはpHを用いた立木状態における黒心発生個体の選抜の可能性を検討した。含水率はいずれの部位においても心材よりも辺材で高い値を示した。心材含水率と辺材含水率の間には、いずれも有意な相関関係は認められなかった。また、枝材の含水率と心材及び辺材の含水率との間の相関係数は、いずれも低い値を示した。このことから、枝材の含水率から材部の含水率を推定することは難しいと考えられる。一方、pHは、いずれの部位においても辺材よりも心材で高い値を示した。また、心材と辺材の間、枝材と心材のpHの間に有意な相関関係は認められなかった。これらの結果から、枝材の含水率もしくはpHにより、幹における心材及び辺材の含水率もしくはpHを推定することは難しいことが示唆された。また、1.2m部位の心材において、含水率とpHの間に比較的高い有意な正の相関が認められ、高含水率でpHが弱アルカリ性を示すという特徴は、心材化に伴って生じる現象であることが推測された。
2008-03-31

実生スギにおける含水率とpHの関係

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク