和産「金時ショウガ」の生育ならびに辛味成分とジテルペン成分について
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概要
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わが国におけるショウガは,大型ショウガ(Zingiber officinale var. rubens MAKINO)と小型ショウガ (Z. officinale var. rubens MAKINO), あるいは便宜上,加えて中型ショウガに大別されている.そして,古典漢方における本来の「生姜」には在来の小型ショウガが利用されてきたものと推論でき,このことは「・・・尋常母薑ノ鮮ナル者ヲ為_レ良ト不レ_用長崎ノ大薑・・・」の文面に要約されるものである.またなかでも,十分に草齢の達した根茎(ひねしょうが)を努めて薬用「生姜」にあてようとしたものであろう.すでに著者らは,大型ショウガに比べて在来の小型もしくは中型ショウガには大量のラブダン型ジテルペンが含まれている点,そしてモノテルペンの含量パターンが若干異なっている,点について報告した.今回,「生姜」と「乾姜」の古書における収穫期の若干の相違に注目した.すなわち「生姜」は夏〜秋に収穫し,「乾姜」は冬に至って後収穫するかのごとくに表現され,またたんに「子姜」や「母姜」あるいは「ひねしょうが」等の根茎の草齢に関係する用語で表現されている場合も多い.そこでわれわれはショウガを実際に栽培し,その生育状況を把握するとともに,生育に伴う主要辛味成分6-gingerol(6-G), 8-gingerol(8-G), 10-gingerol(10-G)ならびに主要ジテルペン成分(E)-8β,17-epoxylabd-12-ene-15,16-dial (I)とgalanolactone(II)の季節変動についてHPLCを用いて検討したものである.また実験材料にはわが国で古い栽培歴を有し,優良品種とされてきた小型ショウガ「金時」を中心に検討した.比較参考品種としては四国地方で蔬菜用に栽培される大型ショウガ「土佐一」を用いて検討した.以下これらの詳細について述べるものである.
- 1992-03-20
著者
-
鹿野 美弘
北海道薬科大学
-
田部 昌弘
Nagakura Pharmaceutical Company Ltd.
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田部 昌弘
長倉製薬株式会社
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安田 眞宰穂
北海道薬科大学
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足立 有美
北海道薬科大学
-
氏田 国恵
長倉製薬株式会社
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