運動切り替え時に見られるLEPベータ振動の変化(ニューロコンピューティングの実装及び人間科学のための解析・モデル化,一般)

概要

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外界からの知覚入力に応じて適切な運動を企画一実行し、外界に働きかけることは、個体の生存上必須である。企画された運動に関する情報は一定時間保持され、適切な状況で実行されたり、あるいは更新されなくてはならない。近年、運動機能障害がみられるパーキンソン病患者において、LFPが異常亢進することが報告され、LFPの運動制御への積極的な関与が示唆されている。しかし、LFPが運動の情報保持・更新にどう関与しているのかについての知見は乏しい。本研究では、両手協調運動を課したサルの内側運動野からLocal Field Potential (LFP)を記録し、β振動を解析した。内側運動野でも、外側運動野と同様に、運動準備期にβ振動(10-40Hz)が観測され、運動開始とともに消失した。さらに、新規運動における運動指示視覚刺激の提示期にもβ振動の減少が見られた。このβ振動の減少は、視覚刺激が網膜から運動野へ到達する時刻(200ms)とほぼ同じ時刻で最小となった。LFPはシナプス後電位の空間和を反映し、振動の出現は細胞同期を示唆する。そのため以上の結果から、運動実行時だけでなく視覚情報を運動情報へ変換する時期にも、神経細胞群が非同期化することが示唆される。
2011-10-12