三宅島2000年噴火後の植生変化(<特集>三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2000年噴火以降の植生にみられた変化について、著者らの既存の報告を中心にして紹介する。噴火初期の植生被害は、陥没カルデラの形成に伴う山頂部の消失、泥流の発生、火山灰の堆積による被害であった。山頂部の消失によりハコネコメツツジなどが島内で絶滅した可能性がある。火山灰放出の終息後も、二酸化硫黄を含む火山ガスの放出が続いたため、噴火後も樹木被害が進行し、植生は退行的に変化した。その一方で、特定の草本種が増加した。草本優占種の変化としては、オオシマカンスゲからハチジョウススキへと変化する地点が多かった。2005年以降オオバヤシャブシなどの木本は全体増加傾向にあるが、増加がみられない地点も多く、場所によってはハチジョウススキ優占群落が長期的に成立し続ける可能性がある。噴火と二酸化硫黄放出によって島内で減少した種がある一方で、噴火後に特異的に増加した種もみられた。その一つであるユノミネシダは火山ガス濃度の高い島の東部に多く出現した。
- 2011-07-30
著者
-
上條 隆志
筑波大学大学院環境科学研究科
-
上条 隆志
筑波大院・生命環境
-
上條 隆志
筑波大学大学院生命環境科学研究科
-
上條 隆志
東京農工大学農学部
-
川越 みなみ
朝日航洋株式会社
-
宮本 雅人
筑波大学大学院生命環境科学研究科
関連論文
- 鬼怒川源流域の山地帯-亜高山帯移行部に成立する針広混交林の組成・構造および植生地理学的位置づけ
- 茨城県菅生沼における火入れがオギ二次草原のタチスミレに及ぼす影響
- 異なる立地におけるウラジロモミの更新様式の違いとその要因
- 〈短報〉 3.本州中部奥鬼怒地域における亜高山帯針葉樹林の更新
- 夏期におけるヒメホオヒゲコウモリ Myotis ikonnikovi Ognev の集団ねぐら
- タイ王国におけるコウモリ調査 : 2003年乾季の調査結果
- P-105 三宅島火山灰堆積物における微生物の鉄代謝(ポスター発表)
- 10-198 SIP法による三宅島火山堆積物中の群集構造解析(群集構造解析,研究発表)
- 04-078 三宅島火山灰堆積物中のケモスタット法による鉄酸化細菌の分離(土壌生態系,研究発表)
- S6-15 三宅島2000年噴火堆積物中の微生物活性と機能遺伝子の解析(S6.現場から見た分子生態学的手法による土壌微生物研究,2007年度東京大会)