関東地方東部における人工林の種組成とその地理的分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.スギ,ヒノキ,サワラのいずれかが植栽された人工林において,植物社会学的方法による植生調査を行った.2.表操作法に基づく群落区分の結果,6つの種群によりスギ-フモトシダ群落,スギ-ドクダミ群落,スギ-ヘビノネゴザ群落,スギ-アオダモ群落の4群落に区分された.3.人工林群落と自然林との分布域の対応関係をみたところ,スギ-フモトシダ群落は,WI≧120℃・monthのスダジイ-ホソバカナワラビ群集の成立域を中心に分布しており,スギ-ドクダミ群落は,100℃・month≦WI<120℃・monthかつMTCM≧2℃のスダジイ-ヤブコウジ群集の成立域を中心に,スギ-ヘビノネゴザ群落は,85℃・month≦WI<100℃・monthかつMTCM<2℃のウラジロガシ-サカキ群集の成立域を中心に分布していた.スギ-アオダモ群落はWI≦90℃・monthの暖温帯と冷温帯との移行域を中心に分布していた.4.各群落の出現種の生活形を比較した結果,常緑木本はスギ-フモトシダ群落,スギ-ドクダミ群落に多く,落葉木本はスギ-フモトシダ群落スギ-ドクダミ群落,スギ-ヘビノネゴザ群落,スギ-アオダモ群落の順に多くなっていた.5.各群落に出現する他の植生単位の標徴種,識別種の平均出現種数の割合を比較した結果,ヤブツバキクラスおよびその下位の植生単位の標徴種,識別種はスギ-フモトシダ群落やスギ-ドクダミ群落に多く,ブナクラスおよびその下位の植生単位の標徴種,識別種はスギ-ヘビノネゴザ群落やスギ-アオダモ群落に多い傾向がみられた.6.人工林にはアカマツ-コナラクラスの標徴種,識別種も多数出現したが,コナラ二次林で比較的多いとされているススキクラスの種はほとんど出現せず,この点がコナラ二次林との種組成の違いであると考えられた.7.人工林の構成種には,森林性の種のほかに,林縁性の種が多数含まれており,これらの種の存続には人工林の施業が影響していると考えられた.
- 植生学会の論文
- 2006-12-25
著者
-
上條 隆志
筑波大学大学院環境科学研究科
-
上条 隆志
筑波大院・生命環境
-
平田 晶子
筑波大学大学院生命環境科学研究科
-
中村 徹
筑波大学大学院生命環境科学研究科
-
上條 隆志
東京農工大学農学部
-
中村 徹
筑波大学大学院人間総合科学研究科運動生化学
関連論文
- 鬼怒川源流域の山地帯-亜高山帯移行部に成立する針広混交林の組成・構造および植生地理学的位置づけ
- 茨城県菅生沼における火入れがオギ二次草原のタチスミレに及ぼす影響
- 異なる立地におけるウラジロモミの更新様式の違いとその要因
- 〈短報〉 3.本州中部奥鬼怒地域における亜高山帯針葉樹林の更新
- 夏期におけるヒメホオヒゲコウモリ Myotis ikonnikovi Ognev の集団ねぐら
- タイ王国におけるコウモリ調査 : 2003年乾季の調査結果
- P-105 三宅島火山灰堆積物における微生物の鉄代謝(ポスター発表)
- 10-198 SIP法による三宅島火山堆積物中の群集構造解析(群集構造解析,研究発表)
- 04-078 三宅島火山灰堆積物中のケモスタット法による鉄酸化細菌の分離(土壌生態系,研究発表)
- S6-15 三宅島2000年噴火堆積物中の微生物活性と機能遺伝子の解析(S6.現場から見た分子生態学的手法による土壌微生物研究,2007年度東京大会)
- 6-18 三宅島2000年噴火堆積物中の鉄代謝微生物生態系(6. 土壌生物, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 1-22 三宅島スコリア堆積物のガス代謝活性と細菌群集構造 : 植生レベルの異なる地点試料について(1. 物質循環・動態, 2006年度秋田大会講演要旨)
- PA-46 三宅島2000年噴火堆積物中から分離された細菌の無機栄養代謝活性(物質循環,ポスターセッションA,ポスター発表)
- 6-5 三宅島2000年噴火堆積物中の硫黄酸化細菌(6.土壌生物,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- B-34 三宅島火山灰堆積層における無機栄養細菌の分布(群集構造解析,口頭発表)
- 三宅島火山灰堆積層中の細菌フロラと硫黄化合物代謝細菌(関東支部講演会, 日本土壌肥料学会支部講演会講演要旨集2004年度)
- 6-19 三宅島火山灰堆積層中の微生物分析(6.土壌生物)
- 10.急性走運動が海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子発現に及ぼす影響 : トレッドミルによる異なる運動強度モデルを用いて(【神経・感覚】)
- 衛星リモートセンシングによる三宅島2000年噴火後の植生回復過程の評価 (平成20年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(26))
- 伊豆諸島三宅島におけるヤマガラ Parus varius によるエゴノキ Styrax japonica の種子の利用と種子散布
- 13-7 溶岩台地上に堆積した粗粒火山灰・スコリアが植生遷移を規定する要因(13.土壌生成・分類,2009年度京都大会)
- 三宅島の火山噴火後の森林の回復(うごく森 8)
- White Patchy Materials Formed in a Scoriacious Road-cut Profile on Miyake Island(Plant Production Science Soil Science)
- 〈資料〉 1.筑波大学校内のキンランの分布
- 関東地方東部における人工林の種組成とその地理的分布
- <論文>八ヶ岳演習林内の湿地群落における地下水位と草本層の種組成との関係
- 植生への影響と回復(よみがえれ、三宅島の自然)
- ハワイで開催された第47回国際植生学会大会とエクスカーション報告
- 13-1 三宅島スコリア質土壌に及ぼす新鮮火山灰堆積の影響(第1報) : 土壌化学性の経時変化について(13.土壌生成・分類)
- 三宅島2000年噴火火山灰試料の化学的および鉱物学的諸性質について
- 13-8 火山放出物由来の土壌生成過程における養分蓄積過程の解明(第2報) : スコリア由来の土壌生成過程における養分蓄積量変化(13.土壌生成・分類)
- 179.胃由来のGH分泌促進ホルモン,グレリンは長時間運動時に分泌が増加するか?(体液・内分泌)
- 衛星リモートセンシングによる伊豆諸島三宅島2000年噴火の植生被害の把握(平成15年度日本造園学会全国大会 研究発表論文集(21))
- 内蒙古シリンゴル草原の衛星画像による景観分析
- 8. 一過性の低強度運動で早期に誘導される海馬BDNF発現(神経・感覚,第62回日本体力医学会大会)
- 202. 低強度トレッドミル急性走運動によるラット海馬の活性化 : c-fos遺伝子発現の経時的変化からの検討(神経・感覚)
- 8.トレッドミル走運動トレーニングが海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子発現に及ぼす影響 : 異なる強度や期間の影響について(神経・感覚)
- 北アフリカの森林帯概説 : 垂直分布と水平分布
- イランのオリエントブナ林と日本のブナ林の植生構造の比較
- <論文>筑波大学井川演習林の昆虫相 その1
- 茨城県県南地域の水田・休耕田に自生する絶滅危惧植物マルバノサワトウガラシ Deinostema adenocaulum (ゴマノハグサ科)
- 伊豆諸島八丈島と南九州の植生垂直分布の比較および八丈島の植生にみられる生態学的特質
- 伊豆諸島産と伊豆半島産のカラスザンショウ稚樹の形態比較
- 造成時の人為が異なるスキー場ゲレンデにおける硫安散布が植生に及ぼす影響
- 伊豆諸島八丈島の形成年代の異なる2火山における常緑広葉樹林の種組成と分布
- 伊豆諸島御蔵島における森林植生の垂直分布と構造
- 伊豆諸島南部におけるスダジイ林とタブノキ林の分布とその成因
- 八丈島におけるスダジイ林とタブノキ林の分布とその成因
- モンゴル国 Kherlen Bayan-Ulaan における過放牧環境下の植物群落の種組成と地上部現存量の変動
- ブナ,ミズナラの開葉時期と遅霜に関する実験
- 栃木県におけるヒメホオヒゲコウモリ Myotis ikonnikovi OGNEV の分布と現存植生図を用いた分布の解析
- 筑波大学農林技術センター井川演習林植物目録への追加
- Initial Soil Formation Processes of Volcanogenous Regosols (Scoriacious) from Miyake-jima Island, Japan (Soil Genesis, Classification and Survey)
- 栃木県栗山村の採草地植生
- P17) 栃木県栗山村の採草地植生とその現状(ポスター発表, 野生生物保護学会 2000 年大会大会報告 : 講演要旨)
- 13-6 三宅島2000年噴火火山灰堆積地における土壌諸性質とススキ群落分布との関係(13.土壌生成・分類,2010年度北海道大会)
- 1-26 カラマツ人工林下の土壌呼吸とその空間分布(1.物質循環・動態,2010年度北海道大会)
- P6-1 Characterization of soil microbial community in the early development of soil ecosystem in Miyake Island, Japan
- 茨城県菅生沼における火入れがオギ二次草原のタチスミレに及ぼす影響
- ニホンウサギコウモリの出産保育コロニーの構造と繁殖特性
- 筑波大学農林技術センター八ヶ岳演習林におけるウサギコウモリの分布記録
- 三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程から学ぶ (特集 三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程--巨大噴火に対する陸上生態系の応答)
- 衛星リモートセンシングによる三宅島2000年噴火後の植生モニタリング (特集 三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程--巨大噴火に対する陸上生態系の応答)
- 13-1 火山放出物由来の土壌生成過程における養分蓄積過程の解明(第1報) : スコリア由来の土壌生成過程における養分蓄積量の評価(13.土壌生成・分類)
- 13-10 三宅島における初期土壌生成過程と植生遷移(予報)(13.土壌生成・分類)
- 衛星リモートセンシングによる三宅島2000年噴火後の植生モニタリング(三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
- 三宅島の火山灰堆積地における発達程度の異なる植生が炭素蓄積量と土壌構造発達に与える影響(三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
- 半乾燥地強風下における農耕地由来の風積砂土が草原生態系に与える影響
- 三宅島2000年噴火後の植生変化(三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
- 三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程から学ぶ(三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
- 三宅島2000年噴火が陸上生態系に与えた影響(三宅島2000年噴火後の生態系の回復過程-巨大噴火に対する陸上生態系の応答-)
- 衛星リモートセンシングによる三宅島2000年噴火後の植生回復過程の評価
- 三宅島2000年噴火後のユノミネシダの分布拡大
- 植生の現状と自然回復について
- 植生学会シンポジウムよみがえれ三宅島の緑 : 緑回復への試みとその課題
- 特集「ユーラシアの植生研究とシンポジウムから」
- 利根川水系における絶滅危惧種タチスミレの生育立地とその植生管理
- 栃木県におけるクロホオヒゲコウモリMyotis pruinosus YoshiyukiとカグヤコウモリMyotis frater Allenの初記録
- タスマニア東北部のグレイトドッグ, リトルドッグ, リトルグリーンの3島におけるハシボソミズナギドリの営巣活動が植生に与える影響
- 伊豆諸島におけるスダジイの果実サイズの地理的変異
- 南伊豆諸島におけるスダジイとタブノキの遷移とすみわけ,およびその生態学的特徴
- 三宅島2000年大噴火の植生への影響 (特集1 三宅島の自然はいま)
- 三宅島噴火と植生 (特集 三宅島の自然と噴火)
- 三宅島2000年噴火が植生に与える影響
- Evaluation of the relative contribution of gravel and fine-earth fractions to the chemical properties of a scoriaceous Haplic Regosols, Japan
- 三宅島2000年噴火堆積物から分離された鉄酸化細菌Leptospirillum ferrooxidans C2-3株のゲノム解析(2011年度大会一般講演要旨)
- 14-1 放牧とその管理が土壌に与える影響 : モンゴル国フスタイ国立公園の事例(14.土地分類利用・景観評価)
- ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosusの大規模ねぐらのある人工洞穴へのバットゲート設置とその後の経過
- ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosusの大規模ねぐらのある人工洞穴へのバットゲート設置とその後の経過
- 13-2 菅生沼における湿生植物群落下の土壌の諸性質と微細形態について(13.土壌生成・分類)
- 21-2 三宅島2000年噴火火山灰堆積地におけるハチジョウススキ群落分布と土壌の諸性質との関係(21.緑化技術)
- 6-31 Relationship between development of bacterial community and vegetation succession on early soil ecosystem in the Island of Miyake, Japan
- ニホンウサギコウモリの出産保育コロニーの構造と繁殖特性
- 14-3 ユーラシアステップにおける土壌有機物と粘土含量および粘土鉱物組成との関係(14.土地分類利用・景観評価)
- ^N-DNA-SIP法による三宅島火山灰堆積物中の窒素固定微生物の解析(2009年度大会一般講演要旨)
- 三宅島2000年噴火堆積物の初成土壌形成と細菌生態系(2008年度大会一般講演要旨)
- ユビナガコウモリ Miniopterus fuliginosus の大規模ねぐらのある人工洞穴へのバットゲート設置とその後の経過
- モンゴル・フスタイ国立公園内外のステップ植生の比較による保護区設置効果の評価