ニューヨーク州の教員免許制度と州立大学バッファロー校における科学教師教育に関する研究
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概要
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ニューヨーク州の教員免許制度と州立大学バッファロー校の中等教育段階の科学教師教育について調査を行った。その結果以下の点が明らかになった。(1)ニューヨーク州における教員免許には2種類あり,従来上進制であったが,2004年以後,上進制と更新制が取り入れられた。すなわち,初級免許(5年の有効期限,更新ができない),5年以内に専門免許への上進に,新たに専門免許取得後5年ごとに免許を更新することになった。これは,2002年に施行されたNCLB法で全ての教師がHigh Qualifiedとなることが求められたことに対応して州政府により改訂されたものである。(2)UBでは初級免許を取得するためには,大学の学部において専門科目(物理学,化学など)を学び卒業していることが必要である。その後,初級免許取得のために,大学院で実習を中心としたプログラムを完了する(授与される学位はない)。なお,教育実習(15週間)の前に100時間の実習校での観察,実習中に週に1度の指導など実習生を指導しサポートするための授業等が大学で行われている。(3)教育実習の指導は,日本と同様に大学側と実習校の教員が行う。相違点は,UBの教員は,大学教員ではなく,初級免許取得プログラムの指導をする専門官(教師教育指導員)であるという点である。教師教育指導員の仕事は,このプログラムへの入学試験の実施から,実習前後および,実習中の指導(指導案の指導を含む)を担当する。また,指導,観察に基づいた15週間にわたる実習についての形成的評価,実習生の成績を付けること,学校への就職の相談等となっている。日本と比較すると,実習校の指導教員よりも大学側の果たす役割が大きくなっている。(4)専門免許取得には3年(従来2年間)の実務経験が必要である。その上で専門免許取得のためには,大学院で理論を中心としたプログラムを学び修士号を取得する。その後専門免許は5年毎に175時間の獄修により更新される。(5)このようなUBのプログラムは反省的実践家としての専門家像に基づき設計されている。
- 2010-11-05
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