胆道閉鎖症術後の門脈圧亢進症による消化管出血-特に小腸からの出血が疑われた症例について-

概要

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胆道閉鎖症術後門脈圧亢進に伴う小腸出血の頻度は高くないが, 治療に難渋することが多い。今回、当科で経験した小腸出血4例の臨床経過とその管理について検討した。胆道閉鎖症術後内視鏡検査がルーチンとして行われた。1982年から2010年までの19年間に4例の胆道閉鎖症術後門脈圧亢進に伴う小腸出血が疑われた症例を経験した。4例(男児3例、女児1例)の葛西手術時年齢は66〜97日で病型はIIIb1ν3例、IIIa1ν1例であった。出血時の年齢は4歳6ヶ月から19歳11ヶ月で出血時に黄疸を認めた症例はなかった。全例に内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(6〜18回)の既往があり、小腸出血が疑われた時点では食道静脈瘤を認めなかった。2例は摘脾により症状は改善したが、1例は摘脾後黄疸と肝機能異常が進行したため生体部分肝移植を必要とした。1例は小腸出血の5年10ヶ月前に脾臓摘出術が行われていたため、輸血、安静とβブロッカー内服により止血が得られた。肝予備能の保たれている症例では摘脾などの門脈圧を下げる治療が小腸出血に有効であるが、コントロール困難な出血には肝移植を視野にいれた治療が必要となる。
2011-03-25