現代日本における平坐位姿勢のとられ方 : 平坐位姿勢のとられ方に及ぼす社会的・文化的要因の影響に関する研究(1)
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概要
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日本では,最近でこそ椅子の使用が一般化してきているが,生活の中では,いまだに畳仕上げの床の上に直接坐る平坐位姿勢が命脈を保っており,なかでも正坐姿勢は,日本の生活文化の基盤の一部を成すものと考えられている。そのような床に直接坐るさまざまな姿勢のとられ方の度合をアンケート手法によって調べてみると,各種の姿勢の中には,自分一人でくつろぐ場面,他人と同席するあらたまった場面など,状況の違いによって,とられ方の度合いが大きく異なるものが少なくなかった。また,姿勢の多くは,そのとられ方の度合いが性別や世代によって異なる傾向を示した。これらからわかることは,人間がある姿勢をとるとき,その理由は必ずしも生理的な快適性への希求によるばかりでなく,社会的・文化的な枠組みの影響を受けることが少なくないということである。それゆえ,平坐位姿勢に対応する家具や道具のデザインにあたっては,単に生理的な快適性を満たすばかりでなく,そのような社会的・文化的生物としての人間の行動や心理を考慮に入れる必要がある。
- 日本デザイン学会の論文
- 1996-11-30
著者
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