《魔笛》の帝劇公演(1913)をめぐって : ドイツ・オペラ受容の一側面
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概要
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帝国劇場(以下、「帝劇」とする)で1913(大正2)年上演されたモーツァルトのオペラ《魔笛》を取り上げ、上演の模様を明らかにしながら、オペラ導入期における受容の特徴や問題点について考察を行った。前提としてまず、帝劇公演以前の日本での《魔笛》受容について概観したが、そこで強調されたのは唱歌や出版メディアを通しての間接的な受容のあり方である。さらに当時の帝劇は多ジャンルの演目を組み合わせた複合的プログラムを編成し、その中で《魔笛》はジングシュピールの体裁をとりつつ、内容を大幅に省略した形で上演された。上演の様子を劇評から判断すると、歌唱と台詞と演技との間の不調和が目立ち、そこに訳詞の存在が大きく関与していることが分かる。すなわち、オペラをめぐる身体と言葉の問題が浮き彫りにされたといえる。
著者
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