《永遠の魂》(1644)について : 初期ドイツオペラに関する一考察
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概要
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本稿の目的は、楽譜が現存するドイツ語最古のオペラとされる《永遠の魂Seelewig》(1644)を取り上げ、その概要を明らかにするとともに、作品の最も顕著な特徴と思われるアレゴリー性について論考することにある。まず作品成立の経緯に触れ、特に先行作品との関係や雑誌掲載という発表形態を紹介、次に台本を取り上げ、登場人物、筋、主題とモティーフにおけるアレゴリー的特性を示すとともに、批評、解説、エンブレム(寓意画)などを織り込んだ台本の個性的な構成について詳述した。続いて楽譜を通して、初期イタリアオペラや有節形式によるドイツ歌曲の強い影響を見た。そして最後に《永遠の魂》のアレゴリー性について、時代およびオペラ史との関連において総合的に考察し、作品がバロック芸術のアレゴリーを理解する上で例示的存在であることを確認した。
- 国立音楽大学の論文
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