《夜の森》の帝劇公演(1913)をめぐって : ドイツ・オペラ受容の一側面
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概要
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1913(大正2)年2月、開場3年目の帝国劇場でフンパーディンクのオペラ《ヘンゼルとグレーテル》が松居松葉の日本語訳により、《夜の森》と縮小・改題のうえ上演された。これは同オペラの本邦初演であるとともに、帝劇における初めての翻訳オペラ上演であり、それまで限定された空間で上演されてきた西洋の翻訳オペラが広く観客を集めた最初の機会でもあった。本稿では《夜の森》の公演の模様を可能な限り把握することにより、ドイツ・オペラ受容の特徴の一端を明らかにしようと試みた。訳詞者の松居松葉が演劇に精通していたことにもよるが、《夜の森》の上演においてはジングシュピール風に台詞が入り、話題の帝劇女優らが出演し、さらに宝塚少女歌劇や浅草オペラで人気を博したお伽歌劇に通じる要素も見られる。このように演劇性の強いオペラ上演は帝劇という舞台空間および当時の文化的状況を反映したものといえる。
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