偶発資産認識の会計処理判断プロセス : Johnson[1994]における'Lottery Ticketケース'を題材にして
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アメリカの現行会計基準(ASC, topic 450.30)では, 偶発利得および偶発資産の財務諸表への計上を禁止している。未実現の収益認識の回避が理由とされており, 現行会計基準は偶発利得および偶発資産に対していわゆる収益費用アプローチを基礎にしている。他方, 必ずしも未実現の収益認識を忌避しないいわゆる資産負債アプローチを採る場合, 偶発資産の計上に伴って偶発利得が財務諸表に計上され得る。基礎となる考え方次第で偶発資産は財務諸表への計上が禁止されたり, 容認あるいは強制されたりするのである。本稿では, どのような考え方を採れば偶発資産が認識されるのか, 認識される偶発資産の性質はどのような性質か, 認識の根拠は何か, 測定値はどのような値か, といった問題を検討した。検討の結果, 便益の発生, 過去事象の生起, 資産の本質, 蓋然性の閾値の規準, 流通市場の役割, 測定へのアプローチなどを巡ってさまざまな見解が存在するが, これらの各論点は密接に関わっており, 二事象観, 一事象観最終的便益説, 一事象観派生便益説という大きく3つの見解に整理できることが明らかになった。
- 2011-03-10
著者
関連論文
- 不確実性事象の認識における蓋然性と債務性の機能
- 資産除去債務基準における資産負債の両建処理
- リスク事象の財務諸表計上への課題
- 偶発資産認識の会計処理判断プロセス : Johnson[1994]における'Lottery Ticketケース'を題材にして
- アメリカ会計基準におけるリスク概念--内容分析によるコンテクストの検討
- 1株当り利益の会計数値化
- 1株当り利益と損益計算書の融合までの過程
- 1株当り利益の計算及び開示
- 情報化社会における会計情報開示 (経済学部50周年記念号)
- 会計方針の変更と比較財務諸表
- Accounting & Legal Mind アメリカにおける企業業績表示
- 米国会計基準における会計情報の開示姿勢
- 税効果会計の適用:普通株主の視点からの検討
- 株主自己責任時代の財務報告-株当り利益中心の会計-
- リストラクチャリング負債会計基準の前史から萌芽まで : SFAS143公表前のSFAS143型の会計基準