リスク事象の財務諸表計上への課題
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概要
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本稿は,リスク事象を財務諸表に計上するための課題を明らかにすることを目的に,SFAS5,SFAC7,SFAS143を検討し,リスク事象に関する2つの会計手続の構造,会計手続のプロセス,基礎にある考え方を明らかにしたものである。 SFAS5は[単一シナリオ→単一数値]というプロセスを基礎に,[リスク=損害×確率]という関係における損害の計上を規定している。一方,SFAC7およびSFAS143は[複数シナリオ→単一数値]というプロセスを基礎に,[リスク=損害×確率]という関係におけるリスクの計上を規定している。 SFAS143とSFAC7との相違は期間損益計算に関わる局面において顕著である。ここから,リスク事象は財務諸表への計上自体が困難なのではなく,計上したリスク事象が事後の期間損益の「歪み」をもたらしてはならないという制約において,財務諸表への計上が困難であることが指摘できる。したがって,リスク事象を財務諸表に計上するには当初認識・当初測定に関する理論の精緻化だけではなく,計上したリスク事象の事後における期間損益計算との関連についての理論を精緻化しなければならないのである。
- 2009-03-12
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