在宅高齢者のQOL,ADL,運動実施状況および健康度の関連性
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概要
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在宅高齢者842人(男性362人,女性480人)を分析対象者として,在宅高齢者のQOL,ADL,運動実施状況および健康度等を調査し,その関連性を共分散構造分析を用いて分析した結果,以下のことが明らかになった.(1)健康度からQOLへのパスは男性で0.74(p<0.001),女性で0.62(p<0.001)の有意な正のパスを示した.(2)健康度に対しては男女ともにADL(男性0.44;p<0.001,女性0.35 ;p<0.001)と運動実施状況(男性0.63;p<0.001,女性0.67;p<0.001)が有意な正のパスを示し,疾病状況(男性-0.21;p<0.001,女性-0.30;p<0.001)が有意な負のパスを示した.(3)ADLに対しては男女ともに運動実施状況(男性0.43;p<0.001,女性0.46;p<0.001)が有意な正のパスを示し,年齢(男性-0.48;p<0.001,女性-0.45;p<0.001)および疾病状況(男性-0.29;p<0.001,女性-0.21;p<0.001)が有意な負のパスを示した.(4)次に,運動実施状況に対しては男女ともに年齢(男性-0.22;p<0.001,女性-0.12;p<0.01)と自覚的運動阻害要因(男性-0.17;p<0.001,女性-0.09;p<0.05)が有意な負のパスを示し,自覚的運動促進要因(男性0.17;p<0.001,女性0.19;p<0.001),運動自己効力感(男性0.70;p<0.001,女性0.78;p<0.001)および運動ソーシャル・サポート(男性0.15;p<0.001,女性0.14;p<0.001)が有意な正のパスを示した.すなわち,運動を実施・継続することや高いADLは健康度を高め,健康度の高さはQOL を高めていた・運動実施状況はADLを介して間接的にも,また直接的に健康度に対しても強い影響を及ぼしていた.したがって,在宅高齢者に適度な運動を実施し継続させる施策や機会の提供が重要であろう.特に,高齢者側の運動自己効力感を高めるための施策や具体的な運動プログラムと指導がまず求められる.
- 2008-08-31
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