排他資源のある計算機システムの待ち行列網による近似性能評価法の提案と評価
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概要
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コンピュータシステムでは,ひとつのジョブが更新を伴ってファイルを使用中は,ファイルの一致性を保証するために,他のジョブがそのファイルにアクセスすることは禁止される.このようなファイルを排他使用資源(または単に資源)と呼ぶ.排他使用資源へのアクセスのぶつかりは,システムの性能に重大な影響を与える.排他使用資源のある待ち行列網をマルコフ連鎖を用いてモデル化し,その平衡方程式を数知的に解く方法が提案されている.しかしこの方法は,システムの状態数が増加したときに平衡方程式を解くことが難しくなるという問題点がある.本論文では,この数値計算の困難を削減する近似手法を提案する.この近似手法では,システムを 2 つの部分に分けて考える.ひとつは CPU や I/O ノードでのジョブの振る舞いであり,他のひとつはジョブが資源を要求/解放する振る舞いである.前者は資源のない従来のセントラルサーバモデルの積形解によって近似し,後者はジョブが資源を要求/解放する振る舞いを記述するマルコフ連鎖を構成して解析する.このマルコフ連鎖はシステムの一部分しか表現していないため,システム全体を記述するマルコフ連鎖より状態数は少なく,数値計算の手間を大きく削減できる.数値実験により,近似モデルは実用に十分な精度を持つことを確認した.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2009-07-06
著者
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木下 俊之
東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科コンピュータサイエンス専攻
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高 秀梅
東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科コンピュータサイエンス専攻
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木下 俊之
東京工科大学
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羽角 友春
東京工科大学コンピュータサイエンス学部
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木下 俊之
東京工科大
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