病気のある子どもを担当する教師間における情報共有手段の開発に関する研究 : ICT (Information and Communication Technology) 活用による病弱教育支援冊子の作製をとおして
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概要
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病気によるさまざまな制限を受けながらも,児童生徒が,意欲的に授業に参加し生活することができるように環境を整えることは,極めて重要なことである.そのためには,病弱教育を担当する教師が専門性を高め,授業時数の制限や学習空白に配慮した指導を行うことが不可欠となる.本稿では,日本における病弱教育の制度の変遷と意義,ICT (Information and Communication Technology) 活用の教育施策の経緯とその取り組みについて俯瞰した.病気の児童生徒への授業場面におけるICT活用については,積極的な実践が報告されているが,児童生徒の教育支援に必要な教師同士の情報共有のためにICT活用する取り組みはほとんどなされていない.そこで,全国に散在している病弱教育に関する指導法,教材等の教育情報をできる限り一元化し,新たに病弱教育を担当する教師が教育情報を得やすくすること,病弱教育担当教師が教育情報を発信し共有するための仕組みを築くことを目的に,CMS (Content Management System) ,Web会議システムなどのICTを活用し病弱教育支援冊子を作製した.病弱教育支援冊子は、ICTを活用することによって時間と場所に左右されることなく効率的に教育情報を蓄積,共有するツールとして作製することができた.また,児童生徒の前籍校の担当教師に,子どもの病気に関する知識,理解を促すため,病院にある学校の教師が病弱教育支援冊子を手渡すことによって,病弱教育についての理解,啓発を図り,前籍校復帰を支援するために必要な教育情報の提供ツールにもなることが示唆された.
- 川崎医療福祉大学の論文
著者
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滝川 国芳
国立特別支援教育総合研究所教育研修情報部
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滝川 国芳
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所教育支援研究部
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西牧 謙吾
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
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西牧 謙吾
国立特別支援教育総合研究所
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西牧 謙吾
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所教育支援部
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滝川 国芳
独立行政法人国立特別支援教育研究所
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西牧 謙吾
独立行政法人国立特別支援教育研究所
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