固定化麹菌Aspergillus oryzaeによる溶液中のアクリルアミド低減技術の開発

概要

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アクリルアミド(以下,AA)は食品を加熱することで生じる遺伝毒性および発がん性が懸念される有害化学物質のひとつであり,食の安全性確保のため,低減方法が研究されている.本研究では,麹菌A.oryzaeによるAA低減処理方法の開発を目的に,アルギン酸カルシウムで包括固定化したA.oryzae分生子によるAA低減が,バッチ式および循環式で可能かを調査した.また,A.oryzaeがAA低減を顕著に示す条件下でamidase活性を測定し,同条件で固定化分生子を培養し,循環式によってAA低減時間が短縮可能か検討した.その結果,栄養培地で培養した固定化分生子は,バッチ式でAA濃度の低下を示した.また,循環式ではエアレーションなしではAA濃度の低下はわずかであったが,エアレーションを行うことでAA濃度の低下がみられ,A.oryzae No.100株では約1.5日でAA濃度を60%低減可能であった.また,A.oryzae菌糸体を唯一の炭素源としてAAを添加した最少液体培地で培養することで,AAを分解するamidaseの誘導を初めて確認した.さらに,同条件で培養した固定化分生子は,循環式でAA低減時間の短縮がみられた.しかし,AA低減時間短縮は更なる検討が必要である.
2010-06-25