欧州におけるホスピス・緩和ケアの概念と倫理的問題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は、緩和ケア先進国である欧州の緩和ケアの概念や倫理的問題を検証することで、わが国のがん患者・終末期患者・難病患者等のQOL向上に向けた緩和ケアのあり方の検討に資することを目的とした。方法は、PALLIUMプロジェクトの報告書、欧州緩和ケア協会による国別報告等を基に、緩和ケア概念や倫理的問題等の比較検討を行った。緩和ケアは、ホスピス哲学に基づく、全人的ケアと緩和医療の融合であることを歴史的経緯から整理し、WHOの緩和ケア定義の論点に基づき、欧州における緩和ケアを考察した。緩和ケアのシステム、対象、看取りの場、適応時期、告知のあり方、終末期の治療における意思決定、緩和ケアと安楽死・自殺幇助の見解において、欧州各国の緩和ケア実践は、一定の水準を保ちながらも、その文化的背景によって多様であった。欧州の現状や議論は、日本で緩和ケアを必要としている国民の全てが、適切なサービスを受けられるようなシステムの構築にとって、参考になるように思われた。
- 2008-09-21
著者
-
宮坂 道夫
新潟大学医学部保健学科
-
坂井 さゆり
新潟大学医学部保健学科
-
宮坂 道夫
新潟大学医学部法医学教室
-
宮坂 道夫
新潟大 医 保健学科
-
坂井 さゆり
新潟大学 医学部保健学科
-
坂井 さゆり
新潟大学医歯学総合病院
関連論文
- 日常臨床における医療倫理の実践(医療倫理とその実践,外科学会会員のための企画)
- ホスピス/緩和ケアの概念と実践についての国際比較研究 : 英国・アイルランドのホスピス訪問を通して
- 療養病棟における高齢者と看護師の入浴援助場面の構造-ケアリング実践に影響する療養病棟文化・環境の考察
- 欧州におけるホスピス・緩和ケアの概念と倫理的問題
- 外国文献の中で言及されたヘルスケアにおける日本の文化的特徴
- 看護ケアを捉える文化的枠組みの構築 : 海外文献による文化的視点の明確化
- 生命倫理教育についての新潟大学医学部5年生に対する意識調査
- 医療倫理教育における3種の学習方略の比較検討
- 新潟大学医学部における生命倫理教育の取り組み : わが国における医の倫理教育の拡充に向けて
- 医療と危害--ハンセン病政策にみる「よかれと思って」の加害 (特集 考えよう! 身の回りのエシックス!)
- わが国におけるの動向 : 最近8年間の医学中央雑誌CD-RO版によるキーワード検索をとおして
- 看護学専攻卒業生のカリキュラム評価に関する調査報告 : 第1〜第4期生を対象に
- 欧州におけるホスピス・緩和ケアの概念と倫理的問題
- 高齢者虐待に関する看護研究・教育の動向と課題 : 高齢者虐待防止法とこれからの看護の役割
- ヒューマンケアリング実践としての看護現象の構造 : Jean Watson 「Caritas Action」からの一考察
- 新潟大学における看護学生の学習図書の利用に関する調査報告
- 医学部・医科大学における医の倫理教育に関する調査報告
- 生命倫理教育効果の評価法の開発 : 倫理的問題点同定力測定テストの信頼性と妥当性の検討(第6回日本生命倫理学会年次大会ワークショップ「バイオエシックス教育」発表 : 原著)
- わが国の保険制度とインフォームド・コンセント(第 5 回学術大会発表原著)
- 医の倫理教育の体系化に向けて
- 臨床倫理の方法論としての討議倫理と物語倫理
- 私たちの生命倫理学は、なぜハンセン病問題を知らずにきたか
- 緩和ケアにおけるナラティブ医療倫理 (特集 緩和ケアを拓くナラティブ)
- 難病患者と「尊厳死問題」 : 死についての、自己による事前判断の倫理的妥当性への疑問(老いること、衰えること、死を迎えること)
- 分科会B 重監房とは何だったのか (小特集 [ハンセン病市民学会]第三回交流集会記録)
- 「胎児標本」問題について考えるために--生命倫理学の視点から (小特集 胎児標本問題)
- 医療、規範、物語--医療倫理学の方法論をめぐって (シンポジウム・法主体のゆくえ) -- (第2分科会 主体・ケア・物語)
- ALS医療についての倫理的検討の試み
- 生殖補助医療政策に関する「物語的正義」についての試論
- 資源化の正義と物語的正義 : 生命倫理学における正義論についての試論
- 医学研究の倫理 : 基本的な考え方
- 臨床倫理の方法論としての討議倫理と物語倫理